


本記事では、過去にアメリカが利下げを行った時に、その後の日本株がどのように影響を受けるのかを調査してみました。
調査を行ったのは、以下の利下げの時期についてです。
これらが全ての利下げという訳ではありませんが、代表的な利下げのタイミングをピックアップしてみました。では早速、それぞれのアメリカの利下げの後で、日経平均がどのように推移したのかをグラフで見ていきましょう。

(横軸:日付、横軸:終値[円])
1989年:この年は、景気減速への懸念が高まっており、アメリカ連邦準備制度(FRB)は、経済成長を支えるために複数回の利下げを実施しました。6月5日を含め、年内に複数回の利下げが行われ、経済の回復を進めようとしました。
1989年6月5日の利下げの際には、その前後では日経平均は若干下落し、7月始めまでは横ばい状態が続きました。
ただ、その後は、12月までしっかりと上昇していきました。

1995年:FRBは2回の利下げを行いました。最初は7月6日で、フェデラルファンド金利を0.25%引き下げ、続いて12月19日にもう一度0.25%の利下げが行われました。これらの利下げは、インフレリスクはそれほど高くはありませんでしたが、当時の経済成長を支え、景気を刺激するために行われたものです。
1995年7月6日の利下げの際には、その1ヶ月前くらいに急落しましたが、利下げ後は急反発して、その後も、日経平均は強く上昇し続け、この時は1996年になっても上昇が続きました。

1998年:FRBは3回の利下げを行いました。アジア通貨危機やロシアのデフォルトなど、世界的な経済不安が原因で、アメリカ経済もその影響を受けることを懸念し、金利が引き下げられました。最初の利下げは9月29日で、その後10月15日と11月17日に追加で利下げが実施されました。
1998年9月29日の利下げの時には、その1ヶ月前くらいから、利下げ直後までは大きく下落していましたが、利下げ後少しすると急反発していきました。
1999年に入って、少し下がりましたが、そのまま下落を続けることはなく、2月〜3月あたりで上昇に転じていきました。

2000-2003年: ITバブルの崩壊後、33ヶ月にわたって5.50%の利下げが行われ、景気回復を図りました。
2000年の最初の利下げは、1月3日に行われました。この時、FRBは、金利を6.50%から6.00%に設定しました。この決定は、当時の経済成長の減速やインフレの抑制を目的としたもので、この年からの複数の利下げサイクルの始まりとなりました?。
2000年1月3日の利下げでは、利下げ後、3月中旬まで株価は上昇しましたが、その後は、長期間にわたって下落を続けました。

2007-2008年: リーマンショックを含む世界金融危機の際に、18ヶ月間で5.10%の利下げが行われました。
2007年の最初の利下げを8月17日に実施されました。日経平均は、その1ヶ月前くらいから下落傾向でしたが、利下げ後は、反発して上昇しました。
ただ、その上昇はたいした続がずに、10月中旬には上昇が止まり、株価は、下落を続けました。

2019-2020年: この期間では、10回の利下げで金利が2.35%下がりましたが、これは、主に新型コロナウイルスによる経済不安に対応したもので、2020年3月には、さらに緊急的に0.5%の利下げが実施されました。
この期間の最初の利下げのタイミングは、2019年7月31日でした。その1ヶ月前くらいから、株価はもみ合い状態でしたが、利下げ後は急落しました。
その後、下落は止まり、9月からはじわじわと上昇していき、翌年2020年の1月〜2月あたりまで、上昇を続けました。
ここまで、6回のアメリカの利下げの際の、日経平均の振る舞いを見てきましたが、全てが同じ傾向にはなっていません。つまり、利下げ後に、株価が上昇するときもあれば、下落していくときもあるのです。
一般的に、利下げは、株価にプラスの影響を与えるとされています。利下げにより借り入れコストが下がり、企業の収益性向上の期待が高まるため、株式市場は上昇しやすくなります。また、低金利環境では、投資家が低利回りの債券よりも、リスクの高い株式へ資金を移す傾向があります。その結果、株価が上昇しやすい状況が生まれる、と言われています。
しかし、過去6回の状況を見て分かる通り、実際には、アメリカを中心とした世界経済や日本経済の状況に応じて、株価は様々な方向に動きます。利下げによって、不況を回避できたら株高に向かいますが、景気後退を上手く止められなければ、株価はダラダラと下がっていきます。
この検証からわかることは、単純に「利下げは株価にとってプラス」と考えるのではなく、利下げ後を行った後の世界、日本の景気がどうなっていくのかを考えるのが重要ということです。
一言で「利下げ」と言っても、利下げを行ったときの経済状況、利下げ幅、回数、期間などは、毎回異なりますので、利下げそのものよりも、経済の状況をしっかりと見極める目を養うことが重要なのです。